栃木県林業センター情報  (No4)

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   特用林産関係試験・研究課題についての情報No4を届けします。

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「冬のきのこ エノキタケ」


【エノキタケとは?】

エノキタケはどんなきのこですか?

知り合いに問いかければ決まって『白くて細長いきのこ』という答えが返ってきます。

エノキタケほど栽培種と野生種の違いがあるきのこも無いでしょう。

エノキタケは茶色で少しヌメリがあり、エノキ・ヤナギ・コナラ等の枯れ木や切り株に発生するきのこです。

ナメコに似た形体で、昔は混同して認識されていたようです。

きのこの中では珍しく、冬期に発生するきのこなので、古くから食用きのことして重宝されてきました。

野生のエノキタケは、現在の栽培品と比べて、味も風味も数段勝ります。

最近ではエノキタケとされているものには複数種含まれているのではないかともいわれています。


人工栽培は1960年代に開始され、1980年代には空調施設栽培が開始されました。

現在流通している『純白系品種』の導入もこの頃から行われました。

           
               純白系品種

『純白系品種』は、当時市況が低迷していたことから新しい品種として、そして日持ちに優れた品種として導入された品種です。

この品種の登場により人工栽培品種は『純白系品種』へと移り変わっていきました。

当初、『純白系品種』は光を当てずに栽培することによって白色にさせていましたが、最近では光を当てても白色になる品種が採用されているようです。

最近では『ブラウン種』などの茶色のエノキタケをスーパーなどで見かけることが増えました。

ちょうど野生種と『純白系品種』を掛け合わせた感じでしょうか?

形態的にはそれほど変わらず、傘だけが茶色になったような感じです。

味の方も中間的で、若干風味が増してヌメリが強くなったような感じでした。

         
               ブラウン種

【野外菌床栽培】

現在栃木県では、新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業「関東・中部の中山間地域を活性化する特用林産物生産技術の開発」に参画し、自然活用型特用林産物の生産技術の開発に取り組んでいます。

その中で、エノキタケの野外菌床栽培における安定生産技術の開発を実施しています。

これまでエノキタケの菌床栽培というと、『純白系品種』の施設栽培がほとんどでしたが、この研究では野生に近い味を持つエノキタケを菌床栽培で、そして野外において安定的に栽培を行う技術を開発しています。


【栽培試験】

当センターでは、エノキタケの野外菌床栽培の栽培試験を行い、収量性や栽培特性を把握して、栽培の実用化技術の確立を目指しています。

これまでの研究により、菌床の培地組成はコーンコブミール:米ぬか=10:3が適していると考えられています。

スギおが粉で栽培を行ったこともありましたが、収量が少なく、きのこも小さめになるようです。

         
           培地の違いによるきのこの形
         (左:コーンコブミール、右:スギオガコ)

試験は1.0sの菌床を作成して行っていますが、収量的には安定的に400〜450gの収穫が可能そうです。

エノキタケの野外菌床栽培では、伏せ込み後4週間位からきのこの収穫が可能で、その後断続的に発生が続くことから、長期にわたり栽培することの可能性が考えられています。

また菌床の伏せ込み時期をずらすことにより、冬季全期間での収穫も可能であり、作物の少ない冬季間中の重要な収入源になることが分かりました。

エノキタケの原木栽培では発生時期が限られることを考慮すれば、菌床栽培での優位性がうかがえます。


【エノキタケの栽培特性】

エノキタケのもっとも大きな特性といえば、やはり冬に発生することではないでしょうか。

作物の少ない冬季に収穫の出来る作物は、きのこ栽培の複合経営を行う際には非常に有用であります。

また、きのこ栽培には害菌や害虫による被害がつきものですが、菌や虫の活動が抑えられている冬季に発生するエノキタケは、これらの被害がきわめて少なくなるのも大きな特性です。

         
              試験中のエノキタケ

残念ながらマイナス面もあり、菌床栽培では菌床表面を乾燥させないことが重要ですが、冬季間は空気が乾燥しがちで、雨も少ないことから菌床表面の保湿を図ることが困難になりがちです。


  【参考文献】

    工藤伸一:東北きのこ図鑑,74,2009
    きのこガイドブック,23-25 159-160,2007
    根田仁:きのこ博物館,99-103,2003


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